なんで「あしのうら」を創ったか？

「足の裏」？ …　『あしのうら』 !!

▼国際障害者年（1981年）のころ、安城市には１00人以上の車いす利用者がいた。
　もちろん、この中には高齢者や、ケガによる一時的な車いす利用者も含まれている。しかし、大部分の人は外出するには介助が必要で、普段、街の中では、その姿を見ることは、ほとんどなかった。
　介助を必要とする障害者を街中で見掛けないのだから、介助する側のボランティアも、なかなか増えない…　　この“メビウスの輪”のような堂堂巡りを断ち切りたい、というのが、あしのうらを創った動機である（1985.1.27結成）。

▼「障害者の方からボランティアを集めるもんじゃない！」とか、「自分のことも満足にできないのにボランティアサークルだなんて…」とも言われた。でも、待っているだけでは何も変わらないし、自分にできることで他の人の手伝いをすることもできると思う。

▼障害者にとって、一番不足しているのは情報（外界からの刺激）である。よく「障害者(児)は心が純粋だ」と言われるが、これも情報不足から来る“精神的発育遅滞”のためであろう。特に幼い頃からの障害者は、自分自身そのことに気付かないことが多く、外出する必要も少ない（家族をはじめ、周囲がそうさせている場合が多い）ので、なかなか、この状態から抜け出せない。
　もっと自分から外へ出たい、色々なことをやってみたい、と声に出して欲しい。街中で、もっと多くの障害者が見られるようになれば、一般の人々の見方も変わってくるにちがいない（この頃、よく言われる“ノーマライゼーション”）。

▼最後に“ボランティア”という言い方は嫌いである。この呼び方のために、やりたくても ためらっている人、必要以上にカッンバッテ活動している人もいるからである。
　もっと気軽に「今度トレーナーを買いに Ｔｏｋｙｏへ行くけど、いっしょに行かない？」と誘ったり、「その日はデートだからダ〜メ！」と、気楽に断れる関係が最高だと思う。

▼大阪を始め、各地で動きはじめた“障害者応援センター”が必要になるぐらい安城の障害者も、もっと活発に動き回って欲しい。そのためにも「あしのうら」は…

（ '86年２月、あしのうら機関紙「のんびりこん」創刊号より）

メビウスの輪 → たどっていくと、表と裏が入れ替わってしまう、ねじった帯で作った輪のこと。